今回は、君が代起立斉唱事件についてです。似たような判例がありややこしいところですので解説していきます。19条21条あたりは複雑で難しく試験でも頻出で大変ですががんばりましょう。
君が代起立斉唱事件の事案
最高裁平成23年5月30日判決は、卒業式で起立斉唱を命じる職務命令に従わなかった都立高校の教諭が、その後の再雇用等の採用選考で不合格とされ、損害賠償等を求めた事件です。
「直接の制約ではない」と「制約がない」は違う
最高裁は、職務命令が教諭の歴史観・世界観そのものを否定したり、特定の思想を持つことを強制したりするものではないとしました。
ただし、そこで検討を終えてはいません。本人の歴史観・世界観に由来する行動とは異なる外部的行為を求めるため、思想・良心の自由を間接的に制約する面があると認めています。
ここは、「思想そのものを変えろとは命じていない」という話と、「思想に由来する行動に影響を与えている」という話を分けると理解しやすくなります。
間接的な制約は許されるか
最高裁は、職務命令の目的・内容や制約の態様などを総合的に考慮し、その制約を許容できる程度の必要性・合理性があるかを判断しました。本件ではこれを肯定し、憲法19条に違反しないとしています。
したがって、「制約がないから審査を終えた判決」と整理するのは適切ではありません。
ピアノ伴奏命令拒否事件との違い
平成19年2月27日のピアノ伴奏命令拒否事件では、音楽専科の教諭に伴奏を命じることが問題となりました。
比較する際は、結論がともに合憲であることだけでなく、命じられた行為の性質、担当職務との関係、本人の思想・良心への影響を確認します。平成23年判決が間接的制約を明示し、その必要性・合理性を検討した点が重要です。
君が代ピアノ伴奏命令拒否事件とは
君が代ピアノ伴奏命令拒否事件(最判平19.2.27)について補足します。
君が代のピアノ伴奏をしなかったこと(命令違反)に対する、戒告処分は違憲か?
という点が争われました。
ここで、ピアノ伴奏を求める職務命令は、君が代に対する歴史観を否定するものではなく
音楽教諭は、君が代の伴奏を通常期待されるため、君が代やその歴史を肯定的に評価するといったような特定の思想を外部に表明する行為であるとはいえませんので、職務命令は思想を強制するものではないとして合憲としました。
君が代ピアノ伴奏命令拒否事件での反対意見とは?
なお、君が代ピアノ伴奏命令拒否事件での藤田裁判官の反対意見があります。
こちらはよく問われるもので重要とされているためすこし補足します。
判例では、君が代に対する否定的な評価を論点に据えて判断しています。
この辺りを取り上げて、藤田裁判官は反対意見を主張します。
原告の音楽教諭が、ピアノ伴奏に応じなかったという点については、
君が代に対する否定的な評価ではなく(それもあるかもしれないが)むしろ、「意思に反しても一律に行動するように強制すること」に対する否定的な評価ではないか?と考えられる。
もしそうだとすると、重要な側面であると指摘します。
一方、校長の命令によって達成される「公共の利益」の具体的な内容とは何か?というのが明らかになっていません。
思想表現の19条21条は複雑で難しいので試験でも頻出で大変ですががんばりましょう。ということで、今回は以上です。
お読みいただきありがとうございました。


