自招侵害・自招危難の処理手順とは?わかりやすく判例解説

司法試験・法律学習

自分から相手を攻撃し、その相手から攻撃を受けた場合でも、正当防衛を主張できるのでしょうか。

この記事では、自招侵害が問題となった最高裁平成20年5月20日決定をもとに、判断の順序を整理します。

自招侵害とは

自招侵害とは、自分の行為によって相手からの侵害を招いた場合の問題です。ただし、「自招侵害があれば必ず正当防衛が否定される」「なければ必ず正当防衛が成立する」という二者択一ではありません。

正当防衛の成否は、先行行為と相手の攻撃との関係に加え、侵害の状況や反撃の内容などを踏まえて検討します。

なお、自ら危難を招いた場合の緊急避難も「自招危難」として論じられますが、正当防衛と緊急避難は成立要件が異なります。この記事では、正当防衛に関する自招侵害を扱います。

平成20年5月20日決定の事案

被告人は、言い争いになった相手の顔を殴って走り去りました。相手は自転車で追い掛け、被告人の背中の上部または首付近を殴りました。

被告人は倒れた後、特殊警棒を取り出して相手を数回殴り、けがをさせました。この特殊警棒による行為に正当防衛が成立するかが問題となりました。

最高裁が重視した事情

最高裁は、相手の攻撃が、被告人の先行する暴行に触発された、時間的・場所的に近接した一連一体の事態であることを指摘しました。

さらに、相手の攻撃が被告人の先行する暴行の程度を大きく超えるものではないなどの事情の下では、被告人が何らかの反撃に出ることを正当とする状況ではないとして、正当防衛を否定しました。

ここで比較しているのは、「相手の攻撃」と「被告人が最初に加えた暴行」です。「被告人の最後の反撃」と取り違えないことが大切です。

答案では何を確認するか

まず、誰が、どの順番で、どの程度の攻撃をしたのかを整理します。その上で、先行行為と相手の攻撃との結び付き、時間・場所の近接性、攻撃の程度などを具体的に評価します。

この決定は、「先に手を出した」という一点だけで結論を出したものではありません。また、相手の攻撃が先行する暴行を大きく超えた場合に、直ちに正当防衛や過剰防衛が成立すると述べたものでもありません。その場合は、改めて各要件を検討する必要があります。

参考判例

最高裁平成20年5月20日第二小法廷決定・刑集62巻6号1786頁。

タイトルとURLをコピーしました